一ヶ月以上、
織り途中で放置したままの布。
どうにも集中できないし、
何も、湧いてこない。
正直、織っててそんなに楽しくない。
理由はわかってる。
このタテ糸は、わたしじゃないから。
mohimoでは、
タテ糸は、基本的には自分でつくるのですが、
今すぐ織りたい!
たまにはいつもと違う雰囲気を織りたい!
という時には、
タテ糸づくりだけ、エイコさんにお任せ!ということもできます。
で、
件のタテ糸は、そのオーダーもの。
でも、
キャンセルのまま数ヶ月も経っていたので、
使っている道具を空けたくて、
わたしが織ることに。
ところが、
一向に織り進められずに、また一ヶ月。
オーダーのタテ糸は、
わたしがつくるけど、そこにわたしは居ない。
選ぶ糸、組み合わせ、その加減、
すべての工程を、
オーダー主に意識を重ねる感覚でやっているので、
わたしの意向は含まれない。
ゆえに、
そのタテ糸は、その人だけのもの。
ありがたいことに、
わたしのつくったタテ糸は、
とても気に入ってもらえるだけでなく、
新しい自分を知るきっかけになったと言ってもらうことも多々あり、
単に代理でつくるのではないというわたしの想いが、
言葉にしなくても伝わっているのは嬉しいこと。
だからこそ、
この取り残されたタテ糸は、
わたしが織るには、違和感がありすぎる。
にも関わらず、
なぜ織り始めてしまったのか。
それは、
「勿体無い…」と思ったから。
当然、糸はタダではない。
しかも、通常よりもはるかに多く使ったタテ糸。
そこに、
わたしが費やした時間、労力。
それらを無駄にしたくないと思ったから。
が、結果、
今、目の前にある、
どうにも手に余るこの布。
絵に描いたような、
本末転倒というやつだと、
自分でも笑えてくる。
ココロはとっくに、
わたしが織るものではないと、わかっていた。
なのに、
アタマが「勿体無い」と言うから、
わたしは織った。
さらに、
ヨコ糸を使い、
時間と労力を使い。
違和感を感じながら、
矛盾を感じながら。
一体、何がしたいのだろう。
「勿体無い」から始まった、
この、さらに勿体無い行為。
ただ、この一件、
まったくの無駄でしかなかったわけではない。
わかっているはずなのに、
まだまだ骨身に染みていない、
自分に向き合うということの大切さを思い知った。
そして、また、
自分の信念を強く胸に刻んだ。
ココロの声を聞こう。
アタマで織るのはやめよう。
自戒の投稿。